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、 2023年9月7日 (木) 14:58
Cisco IOS / IOS-XE のどのバージョンを選択すれば良いか、判断材料となる情報をまとめました。
== 目的 ==
Cisco IOS / IOS-XE の安全なバージョンを選べるようになる
* バージョン番号を見た時、リスクの高低を見抜ける
機器とバージョンの情報を元に、サポートされるバージョンを選べるようになる
== Cisco IOS の基本 ==
=== Cisco Internet Operating System ===
の略です。最近は色々と派生 OS が出ています。
* IOS : Cat1000 , 2960 系 , C921 , C1100 など
* IOS-XE : ISR4k , ASR1k , Catalyst9000 など
* IOS-XR : ASR9k , CRS-X など
=== 登場当初 - モノリシック カーネルの組み込み OS ===
組み込み用のため容量が小さく、軽量です。
反面すべてのプロセスが同一のメモリ空間で動作し、1 つのプロセスがクラッシュすると他のプロセス・メモリなどに影響が及んでしまいます。
* ルータ全体の再起動が必要だった
=== 最近の IOS ===
===== IOS-XE 15.x- : =====
* Catalyst4500X から導入
** カーネルが Linux Kernel となった
** IOS はデーモンとして IOSd プロセスが動作する
** 5CPU は組み込み系の MIPS で動作
===== IOS-XE 16.x- : =====
* Crimson DB をベースとした動作に変更
* Catalyst 9000 では x86 系 CPU に変更
** 9200L は NOT x86
* DB を使用した OS にするのは Arista の<s>パクリ</s> リスペクトで、Juniper も Junos Evolved で採用を始めている
== IOS-XE 16.x- のデータベース ==
[[ファイル:IOS Crimson DB.png|なし|サムネイル|600x600ピクセル|IOS-XE 16.x- Crimson Database]]
プロセスの動作状態を DB に保存します。プロセスが異常動作しても、DB のデータを元にプロセスを再起動させ、OS 全体に波及させないようにします。
構造化して保存することで、読みやすいデータに変更します。プロセス間の情報のやり取りを DB 経由で行い、複雑さを減らします。
* 直接プロセス間通信を行うと、複雑度が増加し、コード追加・修正などが困難に
== Cisco IOS バージョンの読み方 ==
大まかに以下の要素が存在します
=== IOS バージョンの要素 ===
* メンテナンス デプロイメント
* アーリーデプロイメント
* トレイン
* メジャーバージョン
* スロットル
* リビルド
* フィーチャーセット
=== 例 ===
* Catalyst 6500 Sup2T : IOS 12.2(18)SXF16 IP Services
** SXF トレイン / 12.2 メジャーバージョン / (18) スロットル / 16 リビルド / IP Services フィーチャセット
* Catalyst 9500 High Performance : IOS-XE 16.12.3a Network Advantage
** 16 メジャーバージョン / (12) スロットル / 3a リビルド / Network Advantage フィーチャセット
== IOS トレインとは ==
IOS の種類を指します。
=== T トレイン : ===
* テクノロジートレインの略
* 新機能を実装する IOS トレイン
* 新機能をアグレッシブに実装するため不具合が多い
=== M トレイン : ===
* メインライン トレインの略
* 不具合修正をメインに実施する
* T トレインよりは不具合が少ない (出ないとは言っていない)
* 12.3T -> 12.4M のように、一つ前の T トレインがベースとなる
=== S , SY , E トレイン : ===
* 機器個別のトレイン
* 最近は全体的に IOS の統合が進んでおり、トレインの数を減らしている
== IOS スロットルとは ==
IOS をメンテナンスするマイナーバージョンを指します。
新ハードウェアのサポート・機能追加・不具合修正が行われます。
これが若い番号の場合、安定していないと見るべきです。
メジャーバージョンアップしたばかりで、新機能が十分に市場で評価されていない状態といえます。
== IOS リビルドとは ==
IOS をメンテナンスするマイナーバージョンを指します。
基本的に不具合修正のみ行われますが、まれに新ハードウェアサポート・追加機能が入ります。
これが若い番号の場合、安定していないと見るべきです。
新スロットルで発生する不具合がまだまだ見つかっておらず、十分に市場で評価されていない状態といえます。
IOS '''バージョン選定の基本の一つは、リビルド番号が十分に大きいバージョンを選ぶこと'''です。
末尾の英数字は、致命的な不具合や脆弱性対策を行う、緊急メンテナンスを意味します。
== IOS フィーチャーセットとは ==
フィーチャーセットは、使用できる機能をまとめた概念です。
=== Router ===
* IP Base : 基本的なルーティング
* IP Services : 高度なルーティング
* Advanced IP Services : めっちゃ高度なルーティング
* Advanced Enterprise Services : めちゃくちゃ高度なルーティング
最近は IP Services が一番最上位な場合や、App ライセンスなどで差別化する場合も多いです。
IPsec 暗号化は、専用の HSEC ライセンスを買わないと速度が出ないように制限されています。
* 特にプリセールス フェーズでは注意が必要
* デフォルト 50Mbps -> HSEC 250Mbps など
=== 旧 Catalyst ===
-L が一番下、-S が低機能版、-E がつくと、高機能版
Lan Lite : スイッチの機能がかなり制限されたバージョン QoS で ACL が使えなかったりする
Lan Base : L2 スイッチとしては大体使用可能
IP Lite / IP Base : L3 スイッチの基本機能をサポート
IP Services / Enterprise Services : L3 スイッチの機能をすべてサポート
=== Catalyst 9000 ===
-E が低機能版、-A が高機能版 (-E が下になったため、注意 !)
Network Essentials : 旧 Lan Base / IP Base
Network Advantage : 旧 IP Services
フ'''ュ'''ーチャーセットって言うと、恥ずかしい目に合うため注意。
* 未来ってなんだよ (哲学)
== IOS-XE ED・SM / MD・EM ==
=== ED・SM ===
Early Deployment / Standard Maintenance Release の略です。
T トレインと近い概念で、新機能を積極的に取り入れるバージョン
新機能 = 新規不具合
EoL が速い
=== MD・EM ===
Maintenance Deployment・Extended Maintenance Release の略です。
M トレインと近い概念で、不具合修正をメインに実施するバージョン
EoL までが長期で、リビルド回数が多い
Catalyst 3850 / 9000 の場合、16.3 , 16.6 , 16.9 , 16.12 など、3 刻みのスロットルが MD となり、長期サポートが行われる
== 最近の IOS-XE ==
=== 共通コードと標準化 ===
IOS-XE は共通のコードで動作するよう、標準化が進められています。
* 例) ASR1k のルータと Catalyst 3850 で同一のバージョンが動作
* NTP / OSPF など、ハードウェアに依存しない機能は、基本的に同じ動作となる
* ルーティング プロトコルなど、ルータのほうが高機能として差別化している場合が多いため、全く同じではありません
* QoS などは QFP / ASIC のハードウェアに依存して動作するため、機種ごとに動作が異なります
=== Catalyst は 1000 シリーズを除き、UADP ASIC + IOS-XE に一本化 ===
* Catalyst 2960 -> Catalyst 1000 : Classic IOS
* Catalyst 2960XR -> Catalyst 9200 : Classic IOS -> IOS-XE
* Catalyst 3650/3850 -> Catalyst 9300 : IOS-XE
* Catalyst 4500 -> Catalyst 9400 / 9500 : IOS-XE
* Catalyst 6500/6800 -> Catalyst 9600 : Classic IOS -> IOS-XE
== 新機能が実装されるバージョン ==
コンフィギュレーションガイドとリリースノートを参照します。
=== コンフィギュレーションガイド ===
機能のページの最後に Feature History という項目があります。
実装された最初のバージョンが載っています。
=== リリースノート ===
Whats New -> Software Features にリリースノートのバージョンから実装された機能が記載されています。
== 不具合修正が行われるバージョン ==
Bug Search Tool で Known Fixed Releases に記載のあるバージョンです。
ここに書いてあるバージョン以外は、修正されていないと思ったほうが良いです。
例えば CSCvo03530 では発見されたバージョンが 16.9.2 ですが、新しいはずの 16.10.x では修正されていません。
== 理解度テスト ==
=== 既設で導入済みの Catalyst 9500 を別拠点に導入したいのですが、どのバージョンを選べば良いですか ? ===
=== Catalyst 9500 を新規導入したいのですが、どのバージョンを選べばよいですか ? ===
=== Catalyst9500 で StackWise Virtual を使用したいのですが、どのバージョンからサポートされていますか ? ===
== リファレンス ==
[https://www.ciscolive.com/c/dam/r/ciscolive/emea/docs/2018/pdf/BRKSDN-2666.pdf BRKSDN-2666 - IOS XE Architecture and Programmability]
[https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/docs/ios-nx-os-software/ios-software-releases-121-t/15071-choosing-ios.html Cisco IOS ソフトウェア リリースの選択方法]
[https://www.cisco.com/c/en/us/support/docs/switches/catalyst-9300-series-switches/214814-recommended-releases-for-catalyst-9200-9.html Recommended Releases for Catalyst 9200/9300/9400/9500/9600 and Catalyst 3650/3850 Platforms]
[https://tools.cisco.com/security/center/resources/ios_nx_os_reference_guide Cisco IOS and Cisco NX-OS Software Release Reference Guide]
[[カテゴリ:Cisco]]
[[カテゴリ:Catalyst]]