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== 目的 ==
 
== 目的 ==
Catalyst3850 / 9000 の QoS を検証する際に、注意するべき点をまとめます。
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Catalyst3850 / 9000 の QoS を設定・検証する際に、注意するべき点をまとめます。
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== 対象 ==
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=== 対象機器 ===
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UADP ASIC を搭載した Cisco Catalyst スイッチが、このドキュメントの対象です。
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* Catalyst 3650 / 3850
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* Catalyst 9200 / 9300 / 9400  Sup-1,2 / 9500 / 9500 High Performance / 9600 Sup-1
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9500X , 9600X は Silicon One ASIC 搭載のため、非対象です。
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有線 LAN の QoS を対象とし、無線 LAN QoS は扱いません。
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* Catalyst 3850 では無線 LAN の AP をコントロールする機能があり、無線 LAN QoS の設定も存在する
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=== 対象機能 ===
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信頼・分類・マーキング・入力キュー・出力キューをメインに扱います。
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まずは上記を扱えれば、他の機能は応用で扱えるようになるでしょう。
    
== 注意点 ==
 
== 注意点 ==
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トラブル時のエスカレーションも、検証結果を元に行います。
 
トラブル時のエスカレーションも、検証結果を元に行います。
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=== 無線 LAN QoS ===
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== UADP ASIC QoS の全体像 ==
Catalyst 3850 では無線 LAN の AP をコントロールする機能があり、無線 LAN QoS の設定もありますが、このドキュメントでは扱いません。
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QoS は非常に機能が多く、どの機能を設定しているのか分からなくなるケースがあります。
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== UADP ASIC QoS の全体像 ==
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以下の全体像を頭に入れて、自分がどの部分を設計・コンフィグ・検証しているのか、把握しながら進めましょう。
以下の全体像を頭に入れて、自分がどの部分を設計・コンフィグしているのか、把握しながら進めましょう。
   
[[ファイル:UADP ASIC QoS Overview.png|代替文=UADP ASIC QoS Overview|なし|サムネイル|1200x1200ピクセル|UADP ASIC QoS Overview]]
 
[[ファイル:UADP ASIC QoS Overview.png|代替文=UADP ASIC QoS Overview|なし|サムネイル|1200x1200ピクセル|UADP ASIC QoS Overview]]
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[[ファイル:3850 9000 QoS 2P6Q3T.png|代替文=3850 9000 QoS 2P6Q3T|なし|サムネイル|1200x1200ピクセル|3850 9000 QoS 2P6Q3T]]
 
[[ファイル:3850 9000 QoS 2P6Q3T.png|代替文=3850 9000 QoS 2P6Q3T|なし|サムネイル|1200x1200ピクセル|3850 9000 QoS 2P6Q3T]]
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== QoS の設計 ==
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お客様のネットワークで使用されるプロトコル・Vlan・IP セグメントを分類し、ビジネス要件を満たす適切なポリシーを策定します。
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一般的に以下のような方針でポリシーを定義しますが、お客様で使用されているトラフィックを調査してアレンジします。
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* 音声 : IP 電話の遅延をなくすため、絶対優先を行う  帯域幅を埋め尽くさないようにポリシングを行う
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* 映像 : 音声の次に優先する  帯域幅を埋め尽くさないようにポリシングを行う
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* 管理 : ルーティング プロトコルなど、ネットワークの維持に使用する
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* その他 : インターネット アクセスなど、OA 系のトラフィックを割り当てる  バッファリングを多く割り当ててドロップが起きにくくする
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=== トラフィックの種類に対して CoS / ToS / DSCP を割当 ===
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RFC で定義されているため、好き勝手に割り当てるのは非推奨です。
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だめな例としては、「優先度が高いからと考えてしまい、音声に ToS=6 や 7 を割り当ててしまう」といった例があります。
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これはデフォルトで割り当てられている優先度を無視してしまい、一貫性がなくなってしまいます。
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* ToS=6 はインターネット、ToS=7 はネットワーク用の用途向けとなっており、絶対優先されません
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* デフォルト設定でルーティング プロトコルである OSPF Hello は、ToS=6 を使用して送信している
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以下を参考に割り当てましょう。
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* [https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/docs/quality-of-service-qos/qos-packet-marking/10103-dscpvalues.html DiffServ コードポイントを使用したサービス品質ポリシーの実装]
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* [https://www.cisco.com/c/ja_jp/td/docs/sw/dcswt/nex1000vswt/cg/003/n1000v-qos-cfg/qos-6dscp-val.pdf DSCP 値と優先順位値]
    
== 入力機能 ==
 
== 入力機能 ==
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スケジューリング自体は、WRR によって優先度に応じて自動的に行われます。
 
スケジューリング自体は、WRR によって優先度に応じて自動的に行われます。
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基本的に CoS / ToS / MPLS EXP の値が高いものが高優先度となり送信され、低優先度のフレーム・パケットはドロップされやすいです。
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基本的に CoS / ToS / MPLS EXP の値が高いものが (基本的には) 高優先度となり送信され、低優先度のフレーム・パケットはドロップされやすいです。
    
ユーザはキューの種類や内容を設定し、意図するキューへトラフィックの割り当てを行います。
 
ユーザはキューの種類や内容を設定し、意図するキューへトラフィックの割り当てを行います。
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設定したレートに収まるように、指定した帯域幅に'''キュー全体の帯域幅'''を制限します。
 
設定したレートに収まるように、指定した帯域幅に'''キュー全体の帯域幅'''を制限します。
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ポリシングと異なる点は、バッファリングするために若干の遅延があるものの、TCP 再送が起きにくくなるため、バースト トラフィックをドロップしにくくなる点です。
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ポリシングと異なる点は、バッファリングするために若干の遅延があるものの、TCP 再送が起きにくくなるため、バースト トラフィックをドロップしにくくなる利点があります。
    
詳細は [https://www.cisco.com/c/ja_jp/td/docs/switches/lan/catalyst3850/software/release/16-12/configuration_guide/qos/b_1612_qos_3850_cg/configuring_qos.html#concept_EC3CAB24147A4D66905494ED7CEEDBF6 表 4. ポリシングとシェーピングの機能の比較] を参照してください。
 
詳細は [https://www.cisco.com/c/ja_jp/td/docs/switches/lan/catalyst3850/software/release/16-12/configuration_guide/qos/b_1612_qos_3850_cg/configuring_qos.html#concept_EC3CAB24147A4D66905494ED7CEEDBF6 表 4. ポリシングとシェーピングの機能の比較] を参照してください。
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'''正常な動作です。'''QoS そのものはパケット ドロップを減らす機能ではありません。
 
'''正常な動作です。'''QoS そのものはパケット ドロップを減らす機能ではありません。
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むしろ優先度の低いパケットは積極的にドロップさせて、高いパケットをドロップさせないようにする、'''パケットを差別化・帯域幅を制御する技術'''です。
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むしろ優先度の低いパケットは積極的にドロップさせて、高いパケットをドロップさせないようにする、'''パケットを差別化する + 帯域幅を制御する技術'''です。
 
* ToS=0 のパケットは、重みが低いため他の ToS を持つパケットの犠牲になります
 
* ToS=0 のパケットは、重みが低いため他の ToS を持つパケットの犠牲になります
 
* ポートあたりのキューの数がデフォルトの 2 つよりも増えるため、キューあたりのパケットバッファも割当量が減少します
 
* ポートあたりのキューの数がデフォルトの 2 つよりも増えるため、キューあたりのパケットバッファも割当量が減少します
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ただし、パケットがドロップしにくくなるため、WRED や WFQ などの Early Drop も発生しにくくなり、パケット差別化がしにくくなるトレードオフがあります。
 
ただし、パケットがドロップしにくくなるため、WRED や WFQ などの Early Drop も発生しにくくなり、パケット差別化がしにくくなるトレードオフがあります。
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* CoS / ToS / DSCP の値が低いほど、ドロップ率が上昇するため
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* CoS / ToS / DSCP の値が低いほど、ドロップ率が上昇するため、高優先度のトラフィックを保護しやすくなる
    
=== Catalyst3850 / 9000 に ToS=5 のトラフィックを転送しても、絶対優先されないぞ ? 3750 の頃はできたのに・・・ ===
 
=== Catalyst3850 / 9000 に ToS=5 のトラフィックを転送しても、絶対優先されないぞ ? 3750 の頃はできたのに・・・ ===
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                   and has no effect on the type of service field in the IP
 
                   and has no effect on the type of service field in the IP
 
                   Header).
 
                   Header).
</syntaxhighlight>deprecated とあり、廃止されている。
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</syntaxhighlight>deprecated とあり、廃止されています。
    
==== Cisco IOS ping ====
 
==== Cisco IOS ping ====
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=== 優先キューのレベル 2 って使える ? ===
 
=== 優先キューのレベル 2 って使える ? ===
'''筆者は非推奨です。'''検証した限りでは意図した通りに動きませんでした。
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'''筆者は非推奨としています。'''検証した限りでは意図した通りに動きませんでした。
    
* PQ1 ToS=5 と Q ToS=0 にワイヤレート、PQ2 にシェーピングレート以下で印加した場合、PQ2 でドロップが発生した
 
* PQ1 ToS=5 と Q ToS=0 にワイヤレート、PQ2 にシェーピングレート以下で印加した場合、PQ2 でドロップが発生した

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