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西日本と東日本のインターネット用ルータ兼、VPN ルータの Edge Router-X を VyOS にリプレースしました。
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== Edge Router-X リプレースの背景 ==
 
== Edge Router-X リプレースの背景 ==
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** 半導体不足の影響だとしても、長期すぎる
 
** 半導体不足の影響だとしても、長期すぎる
 
* 2022/09 現在、Amazon.co.jp で \17,000 , Amazon.com で $110 程度
 
* 2022/09 現在、Amazon.co.jp で \17,000 , Amazon.com で $110 程度
** 2019/07 に買ったときは、3 台買って 1 台辺り $58
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** 2019/07 に euro dk で買ったときは、3 台買って 1 台辺り $58
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** 円高の影響も大きくなっている
 
* メモリ・ストレージが小さい
 
* メモリ・ストレージが小さい
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* 1 ヶ月に 1 回ほどアクセスできなくなってしまう
 
* 1 ヶ月に 1 回ほどアクセスできなくなってしまう
 
* せめて crash して自動復旧してほしい
 
* せめて crash して自動復旧してほしい
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* メモリ容量が足りなくて、プロセスが OOM Killer されてる ?
    
'''OSPF の動作が不安定'''
 
'''OSPF の動作が不安定'''
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== Edge Router-X の良かった点 ==
 
== Edge Router-X の良かった点 ==
コンパクトで 1U に 2 台を無理なく置ける
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OSPF / BGP はまずまず動く
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* コンパクトで 1U に 2 台を無理なく置ける
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* OSPF / BGP はまずまず動く
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* CLI が Juniper + Cisco ライクで使いやすい
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* IPsec VPN が固定グローバル IP <->  NAT された固定グローバルで組める
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* 軽量・コンパクトで OSPF / BGP がまずまず動くので、今後は検証環境を組むときに使い勝手が良さそう
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== ハードウェアの選定 ==
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ハードウェアは以下の基準で選定し、シンクライアント用 PC の '''Fujitsu Futro S920''' '''/ S900''' にしました。
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* 適価であること
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** 2 拠点で合計 4 台導入するため、1 台 1 万円程度が望ましい
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** 1 台 2 万以上かかるなら、中古のメーカー製が視野に入ってしまう
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* 電源を off / on しても問題ないこと
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** ルータがハングアップしたとき、遠距離の家族でも復旧できるのが重要
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** 他の VM が稼働中のハイパーバイザを、電源 off / on するのは避けたい
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** 申し訳ないが HDD 搭載は NG
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* メーカー製ルータに近い接続が行えること
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** シリアルコンソールで管理したり、多ポートで冗長性が確保できる
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** KVM だとコストが高いので・・・
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* [[VyOS と Tailscale で高速・冗長化された VPN を作る方法|Tailscale]] がインストールできること
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** IPsec VPN では全く歯が立たない利便性とパフォーマンス
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** メーカー製ルータだとインストールする or 代替機能がなく、難しい
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S920 の特徴は以下でした。
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* ルータとしてはなかなか良スペック
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** CPU が AMD 4 コア
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** 4GB メモリ
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** SSD が小容量とはいえ付属してきた
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*'''PCIe 4x があり、NIC を増設'''できる
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* '''RS-232C シリアルポートが 2 つ'''ついており、VyOS の起動ログを確認できる
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* スペックが良い感じに'''低い'''ので、ハイパーバイザを入れる気にならない
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* Opensense FW で[https://forums.servethehome.com/index.php?threads/fujitsu-futro-s920-thin-client-as-opnsense-firewall.31087/ 先駆者]がいた
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国内では手に入らなかったため、eBay でドイツから入手したのは送料の面で残念でした。
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他に上げた候補は、以下があります。
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=== Fujitsu Futro S900 ===
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1 台買ってみましたが、PCIe 特殊配線 + PCI で、PCIe はライザーカードが手に入りませんでした。
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CLI が Juniper + Cisco ライクで使いやすい
+
PCI の 2x1G NIC を積んで妥協してます。PCI の NIC は古すぎて入手性がかなり悪いです。
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IPsec VPN が固定グローバル IP <->  NAT された固定グローバルで組める
+
=== Lenovo ThinkCentre Tiny ===
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適価で手に入れば[[6 万円で 1L サイズ 6 コア 10G x2 サーバを組む方法#VyOS .E3.82.B9.E3.83.AB.E3.83.BC.E3.83.97.E3.83.83.E3.83.88.E3.83.86.E3.82.B9.E3.83.88|別のエントリでも書いた通り]]、こちらのほうが良いでしょう。
   −
軽量・コンパクトで OSPF / BGP がまずまず動くので、今後は検証環境を組むときに使い勝手が良さそう
+
ただ 1 万円を下回る金額では PC として使い物にならない = 中古市場にも
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ほぼ出回らないため、入手が難しいと思います。
   −
== 比較表 ==
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{| class="wikitable"
  −
|+
  −
!
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! colspan="3" |ハードウェア
  −
! colspan="3" |ソフトウェア
  −
|-
  −
!
  −
!コンパクト
  −
!拡張性
  −
!速度
  −
!安定性
  −
!開発体制
  −
!拡張性
  −
|-
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|Edge Router-X
  −
|○
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|✕
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|△
  −
|△
  −
|✕
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|△
  −
|-
  −
|VyOS VM
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|○
  −
|○
  −
|◎
  −
| rowspan="2" |○
  −
| rowspan="2" |○
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|○
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|-
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|VyOS ベアメタル
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|△
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|○
  −
|◎
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|○
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|}
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== VyOS ベアメタルの構成 ==
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こちらを買うならリソースがもったいないため、ハイパーバイザ上の VM で良い気がします。
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=== 単ポートのシンクライアント端末 ===
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Wyse とか安く出回っているので、NIC の冗長性を捨てれば良いかも。
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== VyOS ベアメタルのハードウェア構成 ==
 
{| class="wikitable"
 
{| class="wikitable"
 
|+Fujitsu Futro S920 シンクライアント
 
|+Fujitsu Futro S920 シンクライアント
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|}
 
|}
   −
== VyOS ベアメタルの費用 ==
+
== VyOS ベアメタル 2 台分の費用 ==
 
{| class="wikitable"
 
{| class="wikitable"
 
|+BOM
 
|+BOM
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|
 
|
 
|26,537
 
|26,537
 +
|}
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IPv4 で 80 Mbps の VPN が組めるので、価格性能比はまずまずかなと思います。
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NTT NGN で網内折り返しの IPv6 VPN が組める環境なら、そちらのほうが速いでしょう。
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== VyOS ベアメタルの写真 ==
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[[ファイル:01-S920 front.jpg|なし|フレーム|S920 前面]]
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[[ファイル:02-S920 Rear 10G.jpg|なし|フレーム|S920 背面 10G NIC 搭載]]
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[[ファイル:03-S920 inside 10G.jpg|なし|フレーム|S920 内部 10G NIC 搭載]]
 +
[[ファイル:04-S920 10G plus riser.jpg|なし|フレーム|S920 用 10G NIC と PCIe ライザー]]
 +
[[ファイル:05-S920 4x1G Rear.jpg|なし|フレーム|S920 背面 4x1G NIC 搭載]]
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== 比較表 ==
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{| class="wikitable"
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|+
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新旧比較表
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! colspan="3" |ハードウェア
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! colspan="3" |ソフトウェア
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|-
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!
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!コンパクト
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!拡張性
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!速度
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!安定性
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!開発体制
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!拡張性
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|-
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|Edge Router-X
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|△
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|✕
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|△
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|VyOS VM
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|○
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|○
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|◎
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| rowspan="2" |○
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| rowspan="2" |○
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|○
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|-
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|VyOS ベアメタル
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|△
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|○
 +
|◎
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|○
 
|}
 
|}
    
== リプレース後のメリット ==
 
== リプレース後のメリット ==
   
=== ハードウェア ===
 
=== ハードウェア ===
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* NIC 変更でパフォーマンスアップ可能
 
* NIC 変更でパフォーマンスアップ可能
 
** i350-T4 で XDP 有効化
 
** i350-T4 で XDP 有効化
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*** まだ Experimental で安定性はなさそう
 
** 10G NIC で NTT フレッツ光クロスに対応
 
** 10G NIC で NTT フレッツ光クロスに対応
* PCIe 無線 LAN / WWAN カードで AP / LTE 追加可能
+
* Mini PCIe 無線 LAN / WWAN カードで AP / LTE 追加可能
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** 手持ちの LTE カードは動かなかった
 
* ストレージ容量を増加可能
 
* ストレージ容量を増加可能
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* VyOS の Version 変更が可能になる
 
* VyOS の Version 変更が可能になる
 
* ストレージ容量を気にせず Tailscale を追加可能
 
* ストレージ容量を気にせず Tailscale を追加可能
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* 仮想版の VyOS とコンフィグ互換性が高いため、遠隔地のハードウェアが壊れても仮想版で仮復旧できる
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** スタンバイ機は仮想版でも良い気がします
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* 最近シリアルコンソール サーバ機能が VyOS に実装されたため、多ポート USB シリアル変換器があると活用できる
    
== リプレース後のデメリット ==
 
== リプレース後のデメリット ==
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=== ハードウェア ===
 
=== ハードウェア ===
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* ぎりぎり 1U で収まらない
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* 高さがぎりぎり 1U で収まらない
    
=== ソフトウェア ===
 
=== ソフトウェア ===
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* 今のところなし
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* VyOS 1.4 2022/12 のイメージだと、BGP のコンフィグが再起動で消失してしまう
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** どうも行数が多いと Python でコケてしまう模様
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** 2022/03 のイメージでは発生しなかった
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[[カテゴリ:VyOS]]

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